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塩水や砂糖水はなぜ凍りにくいのか

海水が0度で凍らず、冬の道路に塩をまく理由を、溶けた粒子が氷を邪魔する仕組みからまとめました。

📚 暮らしの中の科学 · 4/10· ⏱ 読了目安 3分 ·情報更新 2026-10-03

📋 基本情報

仕組み
溶けている粒子の数が多いほど凝固点が下がる
水の定数
水1キロに粒子1モルが溶けると約1.86度下がる
海水
塩分約3.5パーセントで約マイナス1.9度で凍る
塩と砂糖
同じ重さなら塩は粒子を十倍以上つくる
限界
塩と氷で下げられる限界は約マイナス21度

純粋な水は0度で凍る

1気圧のもとで、純粋な水は0度で凍ります。この温度では、水の分子が氷の結晶にくっつく速さと結晶から離れる速さが等しく、氷と水が一緒に存在できます。温度が少しでも下がればくっつく側が勝って氷が育ち、少しでも上がれば離れる側が勝って氷が溶けます。水が凍るには分子が決まった六角形の並びできちんと位置につく必要があり、そのためには熱を外に出さなければなりません。氷が溶けるときに熱を吸い、凍るときに熱を出すこの潜熱が、後に出てくるいくつもの現象の鍵になります。

溶けた粒子が氷の並びを邪魔する

水に塩や砂糖が溶けていると、水の分子のあいだに別の粒子が入り込んでいます。氷の結晶はほとんど純粋な水の分子だけでできるので、これらの粒子は水の分子が結晶にくっつくのを邪魔します。結晶にくっつける水の分子が減るので、氷が育つには温度をもっと下げなければなりません。これが凝固点降下です。面白いのは、凝固点が下がる度合いが、溶けた物質の種類ではなく溶けている粒子の数でほぼ決まることです。塩でも砂糖でもアルコールでも、同じ量の水に同じ数の粒子が溶けていれば、ほぼ同じだけ下がります。

塩が砂糖より効く理由

粒子の数が大切なので、塩と砂糖は同じ重さを入れても効き目が大きく違います。塩は水に溶けるとナトリウムイオンと塩化物イオンの二つに分かれますが、砂糖は分子一つがそのまま一つのままです。そのうえ砂糖の分子は塩よりずっと重いのです。塩のモル質量は約58.4グラム、砂糖は約342.3グラムなので、同じ1グラムに含まれる粒子の数を比べると塩は砂糖の十倍以上になります。そのため砂糖水はかなり甘くても0度から大きく外れず、塩水は少し溶かしただけで目に見えて凍りにくくなります。

  • 塩:溶けるとイオン二つに分かれる
  • 砂糖:分子一つがそのまま一つ
  • 同じ重さなら塩の粒子は十倍以上

どれくらい下がるのか

薄い溶液では、水1キロに粒子1モルが溶けるごとに凝固点が約1.86度下がります。たとえば塩58.4グラム、つまり1モルを水1キロに溶かすと粒子は2モルになり、凝固点はマイナス3.7度前後まで下がります。濃い溶液ではこの計算は正確には合いませんが、傾向は同じです。塩分約3.5パーセントの海水は約マイナス1.9度で凍り始めます。海水が凍るときは塩が結晶の外へ押し出されるので、海の氷は海水よりずっと塩辛くありません。塩をいくら入れても限りなく下がるわけではなく、塩と氷で下げられる限界は約マイナス21度です。

冬の道路の融雪剤

冬の道路に塩系の融雪剤をまくのは、氷の表面の薄い水の膜に溶け込んで凝固点を下げるためです。凝固点が気温より低くなれば、氷は溶けた状態のままでいます。ただし気温がとても低いと溶かせる量が急に減り、効き目が落ちます。そのため厳しく冷え込む場所では、より低い温度まで効き、溶けるときに熱を出す塩化カルシウムのような融雪剤を使うこともあります。融雪剤は金属をさびさせ、道ばたの植物や土を傷めることがあり、ペットの肉球を刺激することもあるので、冬の散歩のあとは足を洗ってあげるとよいでしょう。

氷に塩をかけるともっと冷たくなる

氷に塩を混ぜると氷が溶け始め、溶けるのに必要な熱を周りと自分自身から奪うため、温度が0度より下がります。冷凍庫がなかった時代にアイスクリームを作った方法がこれです。氷と塩を混ぜた桶の中に材料の容器を入れて回すと、材料が0度より低い温度に触れて凍ります。逆に、砂糖が凝固点を下げる性質は、シャーベットやアイスクリームが固く凍りすぎないようにしています。度数の高いお酒が家庭用の冷凍庫で凍らないのも、溶けているアルコールが凝固点を大きく下げるからです。

沸点も上がる、ただし少しだけ

溶けた粒子は沸点も上げます。ただし水の沸点上昇は凝固点降下より小さく、水1キロに粒子1モルあたり約0.51度にすぎません。パスタをゆでるとき水1リットルに塩10グラムを入れても、沸点は0.2度も上がりません。塩水のほうが早く沸くとか、塩のおかげで麺が早くゆで上がるという話は根拠が弱く、塩は味つけのために入れるものと考えてよいでしょう。塩を入れた瞬間に泡がぶわっと立つのは、塩の粒が泡のできる足場になるからで、温度が上がったからではありません。

よくある誤解と注意

凝固点降下は仕組みが単純なぶん、誤解も多いものです。次の点を押さえておくと冬の判断に役立ちます。融雪剤は口に入れたり肌に長く触れたりしないようにし、子どもやペットの手の届かないところに保管します。車を洗うときに下回りまで洗うと、さびを減らせます。

  • 塩をまけばいつでも氷が溶ける:とても寒いと効き目が大きく落ちる
  • 砂糖も塩と同じくらい凝固点を下げる:同じ重さならずっと弱い
  • 塩を入れると水が早く沸く:沸点の変化はごくわずか

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